とある忘れられないこと

先日、私が79番のエアコンバスに乗っている時のことでした。私は、たまたま
空いていた左側の最前部の席に座っていました。

車内の座席がほぼ半分ほど埋まっている程度の乗車率で、都心からタリングチャン
方面に向けて走っていく途中です。バスは、ラーチャテーウィー交差点を過ぎて
ラーマ6世通りとの交差点で信号待ちをしているところでした。

私はバスの窓下に、一組の老夫婦が立っているのを見ました。バス停まで歩いて
行く途中で運良く自分たちが乗るバスが信号待ちしているのを見つけたのでしょう、
明らかにバスに乗りたいから扉を開けてくれないか、と言わんばかりにバスの前部扉を
拳でトントンと軽く叩きました。

しかし、運転手はそれを見て見ぬふりをしています。彼らはなおも扉を叩きますが、
運転手は一向に無視したままです。私は、彼らがかわいそうになり、運転手に言いました。


ねぇ。扉を開けてあげてよ。人が（扉を開けてくれと）呼んでるよ。

そう言う私に対して、運転手は言いました。